湯河原・真鶴の野生生物を観察し、写真に記録すること。
「白銀林道/野生生物探検記」4


●リスの住む森

DSC_3672 のコピー 3
保存してたのをパソコンの故障のとき消してしまったとしょげていたけど、別のフォルダにこの1点だけあった。


7、ノウサギと並んで木いちごを採る

 ノウサギはクルマをゆっくり走らせているときや、歩いているとき、急に道路へ飛び出してくる。
 最初、慌ててピョンピョン逃げるが、少し離れると、なぜか足を止めることが多い。これが不思議なのだが、しばらく固まった状態でこちらを見ている。こっちが動かなければ、そのままお見合い状態が続くことになる。
 ノウサギは、リス探しの森の中でその姿を見かけることはまずなく、出合うのはもっぱら林道上。ただ、ブッシュをガサゴソと動く音はよく聞くし、糞は森中にころがっている。
 ノウサギは、あの大きな耳からも分かるが、人間よりはるかに先に相手に気づき、身を隠してしまうのだろう。森の中だと枯葉などで足音が大きくなるし、耳の大きなノウサギが有利で人間は圧倒的に不利。
 ところが驚くなかれ、一度だけ、ノウサギと並んで木いちごを採ったことがあるのだ。
 うまそうに熟れた木いちごを林道脇に見つけ、二、三歩足を踏み入れ採って口へ運んだり、小さなデジカメで撮影したりしていた。そのとき、何かの気配がして横を向いたら、信じられないことに私のすぐとなりにノウサギがいたのである。手を伸ばせば触れる距離だ。
 これはチャンスと思い、顔だけ横向きにしデジカメを起動させたら、その音に驚いて2、3歩跳ね、林道へ出た。だが距離はまだ2メートルあまりで、こちらとの間にわずかな草があるだけ。草の隙間からよく見える。でも一度シャッターを切ったがやはり草が邪魔なので、腰を伸ばして上から写そうと動いたら、ピョンピョン跳ねて、林道上を20メートルほど走って逃げた。
 そこでまたしばらく止まっていたが、しかたないなーってかんじに、ゆっくりとブッシュの中へ入っていった。
 しばらくは、どこから現れたのだろうと、不思議でしょうがなかった。
 私より後から来たのなら、音がするはずだし、まさか人間がいるのにとなりへ並ぶとは思えない。考えられるのはもともとそこへいたこと。ノウサギが木イチゴを食べていた現場へわたしが知らずにいきなり入ってしまったのだ。
 背丈の低い草むらだが、ノウサギは身を伏せて、やりすごすつもりだったはず。ところが、木いちごに目を奪われた私が突然足を踏み入れた。でも、ノウサギは人間が自分の存在に気付いてないことを知り、なおもじっとしていた、ということだろう。普通なら草むらへ入った瞬間逃げ出しそうだが、よほどこの木いちごにご執心だったのではないか。
 というのも、その近くでお店を広げパソコンを打っていると、また知らぬ間にノウサギが木イチゴのところへ現れたのだ。桑の実を食べるときのリスの場合もそうだった。
 森の野生と人間の距離は案外こんなもので、これまでまるで気付かずに通り過ぎていただけかもしれない、と、だんだん強く確信するようになってきたのである。
 イノシシのときもそうだった。
 それまでイノシシが生息するのは聞いていたし、散歩の途中でも地面を掘り返した跡などたくさん発見してもいた。
 だが、あるときイノシシの寝床を見付け、近くに山芋を掘ったばかりと思える新しい穴や、つい先ほど落としたような新しい糞を発見し、めずらしくてカメラにおさめていた。寝床は、イノシシが横に寝てちょうどおさまるぐらいの地面のくぼみで、ふかふかの落ち葉の上で寝返りをうっていたら、重みでだんだんへこんでしまった、といえるようなもの。
 そして、撮影が一段落し、一休みしようと、寝床から30メートルほど離れたあたりの倒木に腰をおろしたら、3メートルほど先の灌木の中で、突然咆哮というか悲鳴というか、ともかく腰を抜かすほどのでかい吠え声がした。
 一瞬、飛び上がってカメラの三脚をかかえて身構えた。
 二三度こちらに向かって吠えたから、すぐ飛び出してくるものと覚悟したら、鳴き声が急に横を向き、森の中をドドドドドっと大きな音を立て、走って逃げはじめた。
 バキバキと枝を折る音をさせ、100メートルぐらい一気に斜面を下っただろうか。ほんとに猪突猛進するようで、どこかにぶつかるのじゃないかと心配するほど。その音はしばらく続いていた。
 イノシシはたぶん、私が森に入ったときはまだ寝床に横になっていて、先に気づいてブッシュへ隠れてやり過ごすつもりでいたのだろう。まさかその身を隠しているすぐ前まで人がきて足を止め、しかも座り込むとは思いもよらず、パニックに陥ったのだ。私の方もこんな大物が、昼間ひっそりと森の中に隠れているとは思いもしなかった。
 そのまま通り過ぎれば、平和に終ったものを、森の野生が気になりはじめた一人の人間が、イノシシの領分まで侵し始めたのである。

DSC_0024 のコピー
イノシシがいままで寝てたと思える落ち葉のくぼみ。これを撮影したあと、休憩しようとして吠えられた。


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