湯河原・真鶴の野生生物を観察し、写真に記録すること。
「白銀林道/野生生物探検記」5

●リスの住む森

8、森の奥まで分け入り巣を探す

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作業道や遊歩道を普通に歩いてるだけでは分からないが、一歩足を踏み入れたり体の角度を変えたりすると見えてくる。
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 リスがよく見られたのはクワの実のある6、7月の間だけだった。
 その後ぱったり出てこなくなり、またも音信不通となる。あまりに見られないから、リスが桑の木の上で繰り広げたファンタジーの世界、目の前に展開された物語は幻であったようにさえ思えてくる。
 こうなると、いまリスがどんな生活をしているかますます知りたくなる。 
 ただ、ここまでの経験から、行き当たりばったりで探そうとしても、不可能なように思えた。そこでまず、林道周辺にリスがどのぐらい生息しているか、分布を知るためにもっと広い範囲のリスの巣とエビフライを探してみることにした。
 そして、森へ分け入り、ときに山側へ数キロ、谷側へも1、2キロほど、急斜面を転げ落ちそうになりながら歩いてみた。
 結果、林道は12キロあるけど、リスの生息地はかなり限られているように思えた。海からの強風のせいか林道沿いの山は木のない広い笹原やススキ野などが続き、これが森を分断していた。リスはこんな開放池ではテンやキツネなどの天敵から逃げられないはずだし餌もないから住めないだろう。
 そう結論し、林道沿いの開放地から開放地までのしかも松林のある数キロのエリアの探索となった。これまで発見したリスの巣がすべて松の木の上にあることから、そんな場所を集中的に探った。
 そして、はじめ森の初心者は道なき道の急斜面を垂直に歩き始めたが、これがあまりに大変で、すぐ斜めに歩くのが得策と知る。ノイバラの棘にひっかったり、笹をかき分けたり、大きな倒木を乗り越えたりとかなりハード。これをあとで「藪コギ」と言うのを知った。両手でかき分けるから「コギ」なんだ。
 そんな苦戦をしているうち、森の中のあちこちに昔の作業道らしきものがあって驚かされたり、奥深い松林へ行くにはノイバラなどのない植林地の中を歩くのが楽なのも分かってくる。作業道の一つは林道下にあるゴルフ場が、飲み水を沢の奥の水源からとるためのものだった。
 また、こんなところにも作業道が、なんて思って歩いていたら、途中、あちこちで太い枝がとおせんぼしていて、とても人が立ったまま歩けないようなものがある。
 這いつくばって枝をくぐりながら、これはイノシシなどが踏み固めたケモノ道であるナ、と確信する。ケモノも急斜面をまっすぐ登るのはさすがにきついとみえて、斜めに歩いていたのだ。これがとても人の入らなそうな山頂付近や谷の中にたくさんあった。
 しかし、つい最近までまさかこんな身近な森の中に立派なケモノ道があるなど知りもしなかったのだから驚きだった。
 そんな発見をしながら探し歩いた結果、トータル12個のリスの巣を見つけることができたのだ。
 意外だったのが、森の松一本一本を見上げて歩いてみても、森の中心部に巣はほとんどなくて、逆に林縁部にばかりにあったこと。しかも高木には作らず、せいぜい14、15メートルまでの木。低い巣では7、8メートルもないぐらいのところにあった。
 この理由は、地上の天敵であるテンや、空から襲うノスリなどが、人の往来のある林道や散策道を嫌うからではないかと思った。高い木の頂上にないのは空から発見されないためである。
 しかし、作業道や遊歩道から一歩足を踏み入れたり、体の角度を変えれば見えるけど、普通に歩けば気付かれないよう上手に作ってある。テンや猛禽の嫌う人間をうまく利用しているようにしか思えないのだ。人間に見つかるこわさ「視線圧」とでもいうものか。
 だが、エビフライは巣のあるなしにかかわらず、いたるところにあった。
 リスの行動半径は2、300メートルから遠くても500メートルまでと言われているが、エビフライの分布からもっと広く移動しているかもしれないと思えた。それに、リスの巣はまだ見落としが多くありそうで、またすぐ新しいものもでてくるだろう。
 そして、そのとき見つけたリスの巣と巣の、最も遠いのは直線でおよそ4、5キロの距離。
 これらから考えても、リスが多数いるのは確実だが、1匹が2つ以上の巣を持つと言われるし、その総数がまだどれほどなのかはよく分からない。
 そんなことを繰り返しながらも、リスに出合わないかと期待したが、林道を歩いているとき移動中と思われるものに2、3回遭遇したぐらいで、「キュルルル」と警戒音を発してすぐ逃げていった。
 リス探しを始めた1年目の秋から冬は、そんな山歩きをしたり、林道を往来した程度で終わってしまったのである。
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