湯河原・真鶴の野生生物を観察し、写真に記録すること。
「白銀林道/野生生物探検記」6

●リスの住む森

9、リスの橋で待ち伏せ作戦

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前がオスで後ろがメス。これは後に尾を骨折したのか「へ」の字型の尾となったオスリスを識別できるようになったことで判明した。
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リスの生殖行動は半日と言われているがもう少し長いかも。しかし、メスがオスを追っているのはどういうことだろう、普通反対だが。
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この3点の写真のデータを失っていて、このサイズの旧ブログからコピーしたものしかない。左の尾がへの字なのを後に「小鉄」と命名。


 夏の間あれほど姿を現してくれたリスが、いまどこで何をしているのだろう。リスを観察するには、あの桑の木のように、リスが執着するエサ場が見つかればいいのだが、松ぼっくりやどんぐり、栗はいたるところにあるし、ここに現れるというポイントが絞れない。
 それに、リスは、耳も、鼻も人間よりすぐれているから、あちこち探し歩いても当然リスが先に察知し身を隠す。人の姿を見なれた林道沿いならまだしも、森の中で大きな音を立てて歩き回る人間は絶対的に不利。だから追い回すような探し方はまず無理だろうと思えた。
 そんなぐあいで、どこで観察できるだろうとずっと頭を悩ませていたが、なかなか答えが見つからないものだから、気持ちはついリスが現れた桑の木に戻ってしまう。そんなとき、ふと、リスが何度か実のない桑の木の枝を伝って林道を渡り消えていった姿が思い出された。
 桑の実がなくなり、姿は見られなくなっても、一日に一度ぐらいこの枝を通っているのではないかと考えたのだ。
 エビフライの分布は広いからリスはかなり移動しているだろうし、他のエサを求めるとしても、この通路を利用するのではないか。
 ただ、林道を渡ることのできる橋は、あちこちにあった。そのためどこを通るか分からないが、リス観察したこの桑の木周辺に何箇所か巣が集中しているから、ここで待ってみようか、なんて考え始める。
 そして、リス探し2年目の春となる3月初旬のある日、その考えを実行に移してみた。
 ニコンD70というデジタル一眼を購入したことも、それを後押しした。 
 それで、古い三脚を持ち出してきて、道路にセットし、イスに座って待つことにした。前年リスが何度も渡った桑の木は、台風で太い枝が折れ、リスが飛び移るには隙間が開き過ぎたと思えるから25メートルほど離れたヤシャブシの木の枝をターゲットにした。
 桑の木に出てきたリスが、帰りにこの枝を一二度渡るところを見たことがある。そのときは、すいぶん遠回りするなー、私の観察位置が近すぎてプレッシャーがかかったのだろうとしか思ってなかった。でも、考えてみたら一度でも通ったのだからまた使うことだってあるはずだ。
 そのぐらいのつもりだったが、この予想がぴたりと当たった。
 どのぐらい待っただろうか、ふいにガサゴソ音がし、山側の木の根元にリスが現れた。
 途中一度何かを警戒するように伏せの姿勢で止まり、しばらくそうしてから、一気に駆け抜け、細い枝先からジャップして反対側の檜の枝の中へと消えてしまった。
 その間、たった10秒か20秒だったかもしれない。カメラでまともにとらえることなどとてもできなかった。でもやはりリスは橋を渡り、海側の森へエサを採りに通っていたのである。

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夏に観察した桑の木から25メートルほど先にあるヤシャブシの木がリスの通路になっているかもと待っていると・・・。

 この頃、リスがあまりに見られないから、鳥にカメラを向けたり、林道を散策したりしていた。
 でも、この日から林道へ通うたび、ヤシャブシの前で一度は三脚とイスをセットするようになる。ただし、1、2時間待ってリスがでないと簡単にあきらめ、鳥や風景にまでレンズを向けていた。橋を利用しているのはわかったが、まだそのときは、リスが毎日、しかも何度も周辺の橋を渡っているなど思いもよらなかった。
 森に深く分け入って、広いエリアにノウサギやイノシシなどが生息しているのを知り、リスの痕跡もたくさんあって、森全体が前にも増していきいきと感じられ始めたときだったから、なかなかじっとしていられないのだ。
 そんな3月の27日。釣りでいうなら大漁の日にあたった。
 前回、リスの出た木にカメラを向けていると、後ろの方でガサゴソ、ジョリジョリとリスが木を登る音が聞こえた。
 振り返ると、姿は見えないのだが、近くの太い松の木に登っているように思える。目で音を追っていると、その松の高い枝の股にヒョイと顔を出し、その枝を伝って林道を渡り、山側の木へと飛び移った。
 リスは先にこちらの存在に気付いていて、カメラをセットした木に登らず、ブッシュを走って、後ろの松の枝を利用したのだ。しかも見られないように、木の裏側を駆け登った。知恵を働かせたつもりだろうが、その音はどこからでも聞こえるほど大きかったのだ。
 しかし、前年の桑の木に出たとき、この松の枝を渡るのをみたことはなかった。小枝や松葉が少ないからまるはだかで、一見リスが橋にするには危険そうにみえる。渡りきるまでに、空から敵に発見される可能性が高い。だからまずこの木に出ないだろうと思っていたがそれは人間の浅はかな感覚だったかもしれない。
 この日はそれだけで終わらなかった。1匹かと思ったら、しばらくして2匹同時に現われ、この枝の上でくっついたり離れたりとしばらくイチャイチャしてたのである。
 こちらが見ているというのに、まったく無視。調べたら生殖時期にあたるし、まず夫婦だろうと思えた。
 リスは都合、5回現われ、一匹だったり2匹だったりしたが、口に何か大きなものをくわえて運んだりと、この日はこの松の枝の橋ばかり利用した。
 このときはじめて気付かされたのが、こちらがが陣取っていると、あきらかにそこを避ける行為をとったこと。
 そして、このあと、ときどき後ろを振り返ってみるようになったが、やはりこっそりと、この松の木の通路を走っている姿を目にした。
 また、逆に松の木の方へ構えていると、今度は反対のヤシャブシの橋を渡ったりと、あきらかにこちらの裏をかくような行動がみられたのだ。通路を渡るのに、速ければ10秒とかからないのだから、これまでずいぶん見逃してきたに違いない。
 しかし、リスはブッシュから姿を出すまでは慎重だが、一度姿をさらすと、かなり大胆で、まるでこちらがいないかのようにふるまうのだから不思議である。
 
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コメント
この記事へのコメント
一度姿をさらすと、大胆であるというのはどう考えたら良いのでしょう?ブッシュの中にいる時から観察者を知っている筈だから、ブッシュの中からでは、take隊員か他の人間か判断できないのだろうか?一度姿をさらすということは、リスの方からもtake隊員の全貌がつかめることになりますね。リスは目がサルのように良いわけではないので観察者の判断をtake隊員の顔ではなくて、全体でしているのかな?
サルは人の顔やその人が乗る車の音などでも識別します。
それとも、take隊員がじっと動かないので、リスにとっては気が付かないのかな?
一度、釧路湿原でシマリスが2匹足元まで近づいてきたことがあります。しかし、ストックの臭いを嗅いで逃げたことがありました。こちらはシマリスが近づいてくるまで動かなかったので人だと気が付かなかったようです。

アナグマはぼくの靴の臭いを嗅いであわてて逃げたことがあります。サル意外の哺乳類は人が動きを止めていれば、視覚的には判断できないのかもしれませんね。

それにしても、写真データを失ってしまったのは残念です。ぼくは自分の外付けHDでも不安なので、Dropboxに一部コピーを容れております.
2016/03/14(月) 14:57 | URL | 三四郎 #-[ 編集]
魚の視力は一番よいカジキでも0,3ぐらいなんですね。その他多くは0,1以下だったりします。ただ音や匂いには敏感で、魚ではないけどクジラなんて1000キロ以上先まで聞こえるとか。
リスも視力は弱いと思いますが、動くものにはよく反応するようです。図形認識も弱いのでしょう。形で見ずに匂いや音でまず気づき、その後に動き方などで全体を把握する、って感じかな。
飼ってた猫が私がクルマで帰ると、家から出て階段を降り、迎えに来てました。クルマの音や足音ででわかるんでしょうね。

森の中の動物たちはたぶん私が1000回以上通ってるわけだから足音とか匂いとかで識別できているだろうと思います。ただ、じっとしていると風下にいるかぎり気づかないんでしょう。隊長の言われる通りだと思います。

写真、無くしたのがたくさんあって、つらいです。また森へ通い、撮りますよ。
2016/03/15(火) 07:07 | URL | take隊員 #-[ 編集]
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